研究を希望する人へ
もしも、大学院生として私の研究室へ入る事を考えているのであれば、とりあえずメールを下さい。大学院入試は狭き門です。しかし、“おもしろい研究をやりたい!”という本当の情熱を持っていれば、きっと乗り越えられる。「やる気だけは誰にも負けません」といった言葉は、あまり意味を持たない。おもしろいテーマに出会いさえすれば、皆研究に没頭していくものです。それよりも、あなたが自信を持っている事を教えて下さい。「体力や持久力は無限にあります」とか「コンピュータでプログラミングができる」など、自分が得意な事を見極めた上で、それを活かす形で研究に取り組んでみませんか。
これまで、数学・物理・工学・情報学など、全く別の分野に籍をおきつつも、「何かおもしろい世界はないだろうか」と探し求めているような学生諸君の転身を大歓迎致します。また、私自身もそうでしたが、子供の頃の将来の夢が動物学者であったような人も、もちろん歓迎します。
私が具体的に欲しているのは、数学・物理学・時系列データ解析手法・コンピュータプログラムなどの教育を受けた人とのcollaborationです。
私は東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻および新領域創成科学研究科自然環境学専攻の担当教員をしていますので,このどちらかの研究科の大学院に入学した人の指導教員になることができます。
小学生のみなさんへ
まずは、学校での勉強をがんばってください。私がおもうに、国語はたいせつです。
本やしんぶんをよみ、人の話を聞いてないようをりかいすることと、自分の考えをことばやぶんしょうにして人につたえることは、これからのじだいにもっともたいせつなことなのではないでしょうか。
そして、頭ばかりではダメ、体と心をきたえてください。山や海や川やグラウンドで体をうごかし、いろいろなことをけいけんしてください。
釣りやムシとりなど、ひごろの遊びやたいけんをとおしてえられるほんとうのちしきを身につけてください。
中学生の皆さんへ
子供から大人への過渡期にあるあなた達は、複雑な年頃です。学校で習う事や大人達が話している事に、色々疑問を感じているかもしれません。
ここだけの話ですが、あなた達の学校で使われている教科書には、「本当はもっと複雑なんだけど、難しすぎるから、単純化してこう教えておこう」といった、“中くらいのウソ“が書いてあるのです。自分で気がついた疑問をよく考えて、先生に尋ねてみましょう。
高校生の皆様へ
大学入学を目指してください。「社会の中で生きた勉強を」、とか、「大学なんかまやかしだ」、等々、つらい受験勉強からつい逃げだしてしまいたくなるような甘い言葉をしばしば耳にします。
もちろん勉強だけが将来身を立てる唯一の手段ではありません。立派な技術を身につけた職人や芸術家といった職業もたくさんあります。しかし、あなたがもしも将来動物の研究や調査といった分野に進みたいと思っているのであれば、逃げてはダメ。きっちりと数学などの基礎学問を修めてください。
大学生の皆さんへ
子供の頃から車が好きで、車を作る仕事をしたくて会社に入ったのに、小さな部品ばかり作らされ、車の形がちっとも見えなくてつまらない。そんな愚痴を聞いた事があります。 生物学の世界も、今や分業体制が主流を占めています。私は学生時代に、DNAとかホルモンとかではなく、丸ごと一頭の動物を観察するような研究をしたくて、アカウミガメの調査を始めました。その後も、ペンギンやアザラシなど、海に棲む大型動物を対象に、個体レベルの行動や生理を調べるような仕事をしてきました。 データロガーを使った水生動物研究は、今まさに始まったばかり。新しい対象動物の習性をうまく利用して、データロガーを装着し、無事回収する事に成功すれば、あなたはもうその動物の第一人者です。得られたデータを、あなたのセンスでまとめ、発見した事実を世界に向かって発信してみませんか。 この分野に教科書はありません。確立された手法論もありません。あなたのすることにあれこれ細かい指図をする大先生もいません。あなたが工夫して開拓したやり方が、明日のスタンダードになるのです。 「あなたの前に道はない、あなたの後に道はできる」
子供を持つご両親へ
お子さんが、「研究者になりたい」と言った場合、ほとんどの親はそれを歓迎し、「じゃあ、頑張って勉強しなさい」などと言うでしょう。本当に子供が頑張って、大学に入ったら、「よくやった」と喜ぶことでしょう。大学4年になった子が、「大学院の修士課程に進みたい」と言われて喜ぶ親は、半分くらいでしょうか?24歳を過ぎ「今度は博士課程へ」などといわれたら、ほとんどの親が「まだやるのか?いい加減に就職してはどうか?」などと言う。
最短で博士号をとっても、27歳。研究者への道はここからが長くて険しい。明治の時代であれば、大臣と並び称されるほど重用された博士も、いまの時代では就職難にあえぎつつ、親のスネをかじらざるを得ないのが現状です。明日の日本の科学を担う若手研究者を国がサポートする制度もありますが、万全ではない。若き博士達は、1年から3年程度の短期間の職を渡り歩く、つらい修行期間に突入します。親や親戚からの「もうそろそろいい加減にしろ」というプレッシャーに負けて、一人また一人と、若者が科学の第一線から去っていきます。
聞くところによると、木の苗を植えた後、手をかけて森にまで育てあげるには、50年かかるそうです。科学者として生計を立てる事ができるようになるまで、だいたい30年くらいかかります。科学者になりたいというお子さんをお持ちのご両親へお願いです。どうぞ森を育てるようなつもりで、長い目で暖かく見守ってください。明日の日本の科学を支えるのは、国でも大学でもない、理解ある両親なのです。
マスコミ関係の方々へ
極力時間を割いて応対致します。まずはE-mailでご連絡を。今はやりの地球温暖化がらみの質問にも私見を述べさせていただきます.クイズ番組の答えについて確認しておきたいといった電話取材でも・・・・誠意をもって対応致します.バイオロギングに関連した私の研究成果に関わるつっこんだ取材は大歓迎。とことんおつきあいします.私の得意分野は、バイオロギング,水生動物の泳ぐ速さ,潜水行動,飛ぶ鳥の羽ばたき周波数,ウミガメ,ペンギン,アザラシなどです.HPで公開しているもの以外にも多くの静止画や動画があります.